Story
小さい頃から何でもできた。何にだってなれると思ってた。ただ、夢だけがなかった。
大学4年生の井上彩は、思うように進まない就職活動に苦悩する日々を送っていた。幼いころからなんでもそつなくこなせたが、面接で問われる「あなたの個性は?」「やりたいことは?」への返答はなぜかいつも詰まってしまう。就活の愚痴をこぼす彩に、趣味のキャンプ仲間である田島健吾はふと問いかける。「夢とかなくて、人生楽しい?」田島は就活をしないと公言し、映画監督を目指すため撮影現場のインターンに取り組んでいた。
そんな中、彩は田島から「就活がうまくいっていないなら」と自身の自主制作映画の手伝いをお願いされ、撮影の現場手伝いに参加することに。そこで耳に入ってきたのは、エキストラたちの何気ない会話だった。「エキストラにも個性がある」「通行人も主役!」——画面の端に立つ人々もまた、それぞれの物語を生きていた。彩はそこに、自己分析では見つけられなかった何かを感じ始める。
「劇情」は観る者にその世界を押し付けてこない。だからこちらからその世界に入り込みたくなる。それは手法というより、作者である比嘉一志の人間性が反映されたものだと思う。そのフレッシュな感性に、かつて僕の助監督を務めてくれた比嘉一志の作品に、未来への期待も込めて惜しみない拍手を送りたい。
映画監督・俳優
水谷 豊
夢を追いかける者と夢の必要性を問う者。相反する二人は声高に夢を叫ぶことも、過剰に現実の厳しさを訴えもしない。押しつけを排し違いを肯定する、そのスクリーンから感じるのはかつて映画監督になる夢を追いかけた比嘉監督のリアリズムともファンタジーとも取れる映画愛あふれるやさしい視点。僕たちは映画が大好きだ、そんな当たり前にあらためて気付かされる。
元・刈谷日劇
渋谷
「就活」せずに自主映画やバイトをしていた。自分の信念に正しさを見出して、進んでいた。でも、それがいかに世間知らずで、もしかしたら誰かを傷つけていたのかもしれない。と思わされた。
正しい生き方なんてないけれど、どんな道でも信念さえ持ち続けていれば、いつか隣の人くらいは楽しませることができるのではないかと思ってる。その前に自分が一番楽しんだ上で、できるだけ誰かを傷つけないように。
まだ何者にもなれる何者でもないあなたに観てほしい映画です。
俳優・映像監督
前野 朋哉
いつだってニコニコしながら中指を突き立てたくなっている自分と、毒を吐きながら周りの顔色を窺っている自分は両方存在していて、器用だと言われながら不器用な側面も、不器用だと言われながら器用な側面も持ち合わせているわけで…自分の中にいる色んな自分に振り回されている主人公も、そしてやりたいことに真っ直ぐに付き進める彼も、映画を観ているうちにいつの間にか登場人物がとても愛おしくてたまらなくなっていました。
映画監督(『ザ・ゲスイドウズ』『ザ・カース』)
宇賀那 健一
自分は周りと違うと知った。
好きでもないものを好きと言った。
誰かに認めてもらいたくて。居場所を見つけたくて。
些細なきっかけで踏み出したその一歩は、未来を変える、とてつもなく大きな一歩かもしれません。
理想の自分と、今の自分。
それでも全部が、どうしようもなく「自分」だから、私たちは、自分を愛し抜くしかないのです。
隣の芝生は、いつだって、青い。
俳優部、劇作家、演出家
阿久津 京介
人生に、決まった型なんてない。
等身大の姿で佇む中野歩さんが、泥臭くも眩しい映画作りの熱量に触れ、己の人生を見つめ直すーー、その佇まいの変化に、誰もが心を揺さぶられるはず。
誰かの人生に触れ、ふと自分を見つめ直す時間の尊さに気づかされました。
あなたの人生に寄り添い、そっと背中を押してくれる優しさに満ちた一作。
映画監督
鳴瀬 聖人
人生に夢は必要なのか?
そんな疑問を抱かされ、のんびりと観ていた。
気がついたら主人公・エキストラ・現実・映画が縦横無尽に溶け合い、ズバッと答えを突き出していた。爽快感!!
マンボウやしろ
「やってみようかな」の小さい選択が未来に影響することは確かにある。私は何をしたいのか。矢印を自分に向けて、自分で自分をジャッジするのは意外と勇気が必要で、何かしらの答えが出る瞬間はだいぶ遅れてやってくる。今はまだまだ道半ば、さぁどっちに歩こうか。
この映画はそんな気の張った道のりに、寄り道を与えてくれます。
あなたを豊かにする小さい選択に出会えるかもしれません。
映画監督
山元 環
なんだろう、井上さんが羨ましい。
器用で、素敵な友人もいて、裕福な家に育ち、ご両親は、とんでもないオシドリ夫婦だ。
アウトドアが好きで、自然を愛する心も持っている。 そして悩める悩みもある。
彼女はすでに、豊かに生きている。
だから、「夢」が必要じゃないのかもしれない。
「夢」が無いと豊かに生きられなかった、自分の20代を思い出した。
映画監督
戸田 彬弘
「何者かにならなきゃ」と、 焦ってしまうことがある。
でも本当は、 何者かになる前から、 誰もが自分にしか撮れない一本を生きている。
一人ひとりの人生は、 どんな映画より面白い。
スクリーンを離れても、 それぞれの一本は続いていく。
「劇情」ぜひ劇場で。
俳優・クリエイター
増田 朋弥
今はなんとか映像で食えていて、過不足ない日々を楽しく送れている。でも確かにガチの何者でもなかった頃の方が、前後不覚なだけに、魂は大きく躍動していたような...立ち返りたいなあ。
CMディレクター、映画監督
岩崎 裕介
投げかけられた質問に
答えが出せない彼女
何気ない日常
緩やかに変化していく自分
迷いながらも
飛び込んだ世界で
何かを掴み…
返答できなかった彼女が
自信を持って口にした答えが
正解!な気がした。
迷いながらも選び
進み続ける私たちの人生を
「それで良いんだよ」と言われたようで
心が軽くなった。
主演の中野歩さんが自然体で演じる主人公は
一切、激しさがないのに
そのゆるやな変化に目が離せなかった。
何かが変わるんじゃないか?!と、
丁寧に演じるからこそ見えた彼女の成長に
答えの出ない映画なのにカタルシスを感じた
狂言師・俳優
和泉元彌